鉄骨は建物の骨組みを作るための非常に重要な資材です。崩壊事故などが決して起きないよう、構造物に応じた適切な品質のものを選ばなければなりません。その際に参考となるのが鉄骨の「グレード」です。ここでは鉄骨のグレードの種類や、建物の規模に応じた適切な選び方について解説します。
■グレードは全5段階。使用できる建物の規模に関わる
日本には多くの鉄骨工場がありますが、これらは「鉄骨製作工場認定制度」により、5つのグレードに分けられています。国土交通省指定の性能評価機関が、各工場の製造設備や検査設備、品質管理体制、制作実績などを審査し、グレードを認定しているのです。グレードは高い方から順にS、H、M、R、Jで、それぞれ以下の略称となっています。
Sグレード:Super
Hグレード:High
Mグレード:Middle
Rグレード:Regular
Jグレード:Junior
重要なのは、どのグレードを取得している工場で生産された鉄骨なのかによって、使用できる建物の規模が変わってくることです。たとえば最上位のSグレードの工場は、建築物の大きさや鋼材の種類を問わず、あらゆる鉄骨に対応できます。
しかし、Sグレードの工場は全国に十数ヶ所しかありません。それほど高度な技術と製作設備がなければ製造できないのです。もちろん、品質のよさに比例して価格も高くなりますから、あらゆる建物にSグレードを使えばいいわけではありません。建物の規模に応じた鉄骨の使い分けが大切です。
■グレードの種類とそれぞれの対応範囲
次は、グレードの具体的な対応範囲について見ていきましょう。5つのグレードのうち、S・H・Mグレードの工場は建築規模の制限がなく、R・Jグレードは建築規模の制限があります。それぞれがどのような建物に使えるのかをご覧ください。
Sグレード
建築規模はもちろん、材質、板厚、作業条件などに一切の制限が設けられていない最上級のグレードです。あらゆる鉄骨の製作体制が整えられていますが、その分認定の条件は厳しく、前述の通り工場は全国に十数ヶ所しかありません。
Hグレード
400N級および490N級、520N級炭素鋼で、原則として板厚60mm以下の鋼材に対応できるグレードです。作業条件は原則下向きおよび横向き、立向溶接となります。
Mグレード
400N級および490N級炭素鋼で、原則として板厚40mm以下の鋼材に対応できるグレードです。1つ下のRグレードに比べて製作範囲が非常に広く、建築規模制限がないこともあって、多くの工場がこのグレードの認定を取っています。
Rグレード
400N級および490N級炭素鋼で、板厚32mm以下の鋼材に対応できるグレードです。5階建て以下、延べ床面積3,000㎡以内、高さ20m以下という建築規模の制限があります。
Jグレード
400N級炭素鋼で、板厚16mm以下の鋼材に対応できるグレードです。3階建て以下で、延べ床面積500㎡以内、高さ13m以下、軒高15m以下という建築制限があります。
つまり、3階建てまでの小規模な建築物においては、グレードはほとんど関係がないのです。加えて、グレードはあくまでも民間の制度であることに留意する必要があります。グレードの認定を受けていなければ鉄骨の製作ができないということはありません。たとえ仕様書でグレードが指定されていても、設計者が許可を出せば、グレードのない鉄骨でも使用できます。
したがってグレードは、鉄骨工場を選ぶ時の基準の1つと考えるのがいいでしょう。参考になる情報ではありますが、グレードだけを気にするのではなく、他のデータも含めて総合的に評価することが大切です。
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