「この建物は、一体いつまで使えるのだろうか?」これは、建物を所有・管理する方にとって重要な問題です。どれだけ頑丈でしっかりメンテナンスされた建物でも、経年劣化から逃れることはできません。そのため、使用可能な年数の目安である「耐用年数」が設定されており、それ次第で価値が左右されるのです。今回は、「鉄骨造」の建物の特徴や耐用年数について解説します。
■鉄骨造(S造)の特徴
鉄骨造は、建物の骨格を鉄骨で作る構造のことです。別名「S造」とも呼ばれ、SはSteel(鉄)を表しています。鉄骨の厚さによって、軽量鉄骨造(厚さ6mm未満)と重量鉄骨造(6mm以上)に大別されるので、それぞれの特徴を見ていきましょう。
✓軽量鉄骨造
柱や梁をボルト接合する「鉄骨軸組工法」がよく用いられます。基本的な構造は在来工法(木造の軸組)と同様で、柱や梁が鉄骨で構成されているわけです。X型に組まれた筋交い(ブレース)が特徴的であることから、「ブレース工法」とも呼ばれます。
メリットは、木造に比べて品質が安定していることです。木造の場合、木の種類や質によって品質がバラつきやすいのは否めません。鉄骨は工場で生産されるので安定供給でき、品質も一定に保てるのです。また、シロアリの被害も受けません。
一方デメリットは、ブレースの位置によって間取りが制限されてしまうことです。鉄は熱を伝えやすいことから、木造に比べて断熱性も低くなります。また、コストは木造より高くなりますが、重量鉄骨やRC造(鉄筋コンクリート造)よりは安価です。
✓重量鉄骨造
柱や梁を溶接によって接合する「鉄骨ラーメン構造」が主に用いられます。ラーメンはドイツ語で「柱」を意味する言葉です。その名の通り、建築物の重さを柱と梁で支える構造になっています。軽量鉄骨と比較した場合、安定した品質やシロアリの被害を受けないこと、木造に比べて断熱性が低いことなどは同じです。
一方、コストは軽量鉄骨より高くなりますが、柱と柱の間を大きく開けられるので設計の自由度が高く、広い空間を設けるのに向いています。そのため、高層ビルやマンションでもよく採用されるのです。さらに、鉄骨自体が頑丈で折れにくいことや、素材がしなって地震のエネルギーを吸収できることにより、耐震性に優れるというメリットもあります。
■2種類の「耐用年数」の意味
次は、鉄骨造の耐用年数について見ていきましょう。耐用年数という言葉には、一般的に2つの意味があります。1つは文字通り、その建物がいつまで持つのかという年数のことで、物理的耐用年数ともいいます。鉄骨造の場合、適切なメンテナンスが行われていれば、50年~60年は使用に耐えるでしょう。
そしてもう1つは「法定耐用年数」です。法定耐用年数は税制上設定されているもので、減価償却の指標として使われています。つまり、法定耐用年数を超過した時点で、その建物は減価償却が終了したことになるのです。建物の状態や、実際に使えるのかどうかは関係ありません。
鉄骨造の場合、法定耐用年数は鉄骨の厚さによって決まります。といっても、軽量鉄骨や重量鉄骨という区分ではなく、また別の基準があるのです。基準は以下のようになっています。
3mm未満:19年
3~4mm:27年
4mm以上:34年
この基準に合わせると、重量鉄骨造はすべて34年で、軽量鉄骨造は3種類のいずれかになります。ちなみに、木造・合成樹脂造の法定耐用年数は22年、木骨モルタル造は20年です。鉄骨造はRC造には劣るものの、木造に比べれば耐用年数は長いことがわかります。
■耐用年数が与える影響とは?
耐用年数がどのくらい残っているのかは、その建物の価値に大きな影響を与えます。たとえば建物を売却する場合、「その建物があと何年くらい使用に耐えうるのか」を調査し、価格を算出しなければなりません。この場合の「あと何年」を「経済的耐用年数」と呼ぶこともあり、当然ながら長いほど価値が高くなるのです。
また、法定耐用年数は物件の担保価値の指標でもあります。法定耐用年数を超えた建物は融資を受けづらいため、購入希望者が現れても金融機関の融資審査を通りづらく、売却まで時間がかかるかもしれません。つまり、法定耐用年数が長く残っている物件は売りやすく、短ければ売りにくいのです。売却を考えているなら、法定耐用年数はチェックすべきでしょう。
もちろん、減価償却への影響も無視できません。法定耐用年数が長ければ、長期間に渡って経費として計上でき、節税につながります。この辺りも鉄骨造の強みといえるでしょう。
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